「たんぱく質を効率的に摂取できる鶏ハムを作れるようになりたい。でも自分で作った鶏ハムで食中毒になる可能性があると聞いて少し怖い。食中毒の危険性の低い、安全な鶏ハムを作るにはどうすればいいんだろう?」
鶏ハムの食中毒のリスクを0にするのは難しいですが、限りなく0に近づけることは可能です。
しかし、そのためには食中毒に関する知識が必要になってきます。
そこでこの記事では、
- 鶏ハム作りで食中毒が起こる原因
- 鶏ハム作りで食中毒を予防する方法
を解説していきます。
「家族も食べるから安全な鶏ハムを作れるようになりたい」
「鶏ハムでお腹を壊した経験があるからもう2度と失敗したくない」
そんな方はぜひご一読ください。
鶏ハムの食中毒の主な原因はこの3つ
食中毒への対策をするためにはその原因を知る必要があります。
そこでここからは、鶏ハム作りで食中毒が起こる3つの原因をご紹介します。
特に注意しないといけないのが、鶏ハムの作り方を検索すると必ず出てくる「沸騰させたお湯にいれて放置する」レシピ。
確かにしっとりとした食感になるこのレシピですが、衛生的には怪しいと言わざるを得ません。
食中毒を予防するために、「なぜ起こってしまうのか」をまず理解しておきましょう。
鶏ハムの食中毒の原因①:中まで火が通っていない
鶏ハムを美味しく調理するなら低温調理が基本。
放置レシピは低温調理を行うための一つの手法です。そのため、鶏ハムをしっとりさせる手段としては間違っていません。
しかし、低温調理は温度と時間をしっかりコントロールしないと中まで火を通すことが難しい調理法です。
火が中まで通っていれば食中毒菌(鶏肉の場合、主にサルモネラ・カンピロバクター)は死滅します。
しかし中まで火が通っておらず中心部が生の状態であれば、食中毒菌は生きている状態で鶏ハムに存在します。
この火が通りきっていない鶏ハムを口にすることで、私達は食中毒になってしまうのです。
鶏ハムの食中毒の原因②:完成した鶏ハムを常温に放置している
食中毒菌は5~45℃で活性化、とくに 30~40 ℃で増殖しやすいと言われています。
放置レシピは常温で数時間、または半日以上そのままにしておくものが一般的。
常温は食中毒菌が増殖しやすい「5~45℃」に当たるので、実は放置することで食中毒増殖のリスクを高めてしまっているのです。
完成した鶏ハムを常温に放置することも、食中毒の原因の1つです。
鶏ハムの食中毒の原因③:そもそも衛生管理ができていない
飲食店などでは当たり前に行われている衛生管理ですが、家庭で気にしている方は少ないのではないでしょうか。
鶏むね肉を触った手でそのまま他のものを触ったり、生肉の調理に使用した包丁やまな板を洗剤を使わず適当に洗ったり…
家で食べるものだからと言って衛生管理を怠ってしまうことが、食中毒の原因になってしまうこともあるのです。
鶏ハムの食中毒予防のためにできる5つのこと
原因がわかれば、あとは対策を考えていくだけです。
ここからは、鶏ハム作りにおいて食中毒予防のためにできることを5つご紹介します。
難しいことは1つもありません。安全な鶏ハム作りの参考にしてくださいね。
鶏ハムの食中毒を予防する方法①:調理前に鶏むね肉を常温にしておく
冷たい状態の鶏むね肉をお湯に入れると、外側は加熱されますが、中心部になかなか火が通らないということが起こってしまいます。
そのため、調理を始める前に鶏むね肉を常温に戻しておきましょう。
事前に鶏むね肉の温度を上げておくことで、冷えている状態の時より中心部まで火が通りやすくなるので、食中毒菌を死滅させやすくなりますよ。
鶏ハムの食中毒を予防する方法②:63~67℃の温度帯で2時間以上加熱する
「63~67℃で2時間以上加熱」するのは、以下2つの理由からです。
- 鶏肉の中心部がお湯の温度に近づくのに1時間30分(厚さ3cmの鶏むね肉の場合)、厚生労働省が食肉の加熱殺菌基準を中心部の温度を63℃で30分以上と定めているので、しっかり殺菌するためには63℃で2時間以上加熱する必要があるから
- 鶏むね肉の温度が65.5℃以上になるとたんぱく質が熱変性するため、食感がパサパサになってしまうから
これらのことから、我が家では「63~67℃で2時間以上加熱」しています。
そうすることでしっかりと殺菌された、しっとりとした食感の鶏ハムを楽しむことができますよ。
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000365043.pdf
参考:A Practical Guide to Sous Vide Cooking
サラダチキンメーカーを使うと便利
【低温調理器いらず】家にある鍋で安全にしっとり美味しい鶏ハム(サラダチキン)を作る方法 - オータクログでは、蓋付きの鍋で鶏ハムを作る方法をご紹介しています。
しかし「63~67℃で2時間以上加熱」するために、「63℃になったら67℃まで再加熱→63℃になるまで放置→63℃になったら67℃まで再加熱…」を繰り返すため、手間と感じる人も多いはず。
「コストをかけていいから、もっと手間を省きたい」という方は、サラダチキンメーカーを使って加熱する方法がおすすめ。
スイッチ1つでお湯の温度を65℃で2時間キープしてくれるので、鶏ハムをしっとりさせつつ、食中毒の対策もできる優れもの。
「鶏ハム1つにそんなに手をかけてられないよ…」という方は是非試してみてください。
鶏ハムの食中毒を予防する方法③:2時間経過したら切って中の状態を確認する
鶏ハムの中の状態を確認せず冷ましてしまうと、もし火が通りきっていなかった場合に生き残った食中毒菌が増殖してしまう可能性があります。
63~67℃で2時間以上加熱したら、一番分厚い場所を切って鶏ハムの中の状態を確認しましょう。
中の色が白くなっていれば火が通っている証拠。もし中がピンク色であれば火が通っていない可能性が高いので、再度加熱を続けましょう。
加熱後に中をしっかり確認することも、食中毒を予防する手段の1つです。
鶏ハムの食中毒を予防する方法④:完成したら冷凍庫で急冷する
食中毒の原因のところでもお伝えしましたが、食中毒菌は5~45℃で活性化、とくに 30~40 ℃で増殖しやすいという性質があります。
そのため常温で放っておくと、もし食中毒菌が生き残っていた場合に増殖し、お腹を壊してしまう原因に。
この危険な温度帯をできるだけ早く通り過ぎるために、完成した鶏ハムはすぐにラップに包んで冷凍庫に入れましょう。
この時、冷凍庫内で保冷剤で挟めば、より急速に食中毒菌が活性化する温度帯を早く通過することが可能に。
できあがった鶏ハムを急冷することで、食中毒菌の増殖を予防することができますよ。
鶏ハムの食中毒を予防する方法⑤:調理環境の衛生管理を徹底する
どれだけ鶏ハムの温度や加熱時間をしっかり管理したとしても、そもそも調理環境の衛生管理が悪ければ 、食中毒は防げません。
鶏むね肉を触った後はしっかりと手を洗う、調理後の器具は沸騰したお湯をかけて殺菌するなど、しっかりと衛生管理に努めましょう。
1つ1つを意識して行うことで、食中毒が起こる可能性を下げることができますよ。
参考:家庭で生肉を調理する際に、どのようなことに気を付ければよいですか?【食品安全FAQ】 東京都福祉保健局
まとめ
高たんぱく質な鶏ハムは筋トレをする方の強い味方。コンビニやスーパーの市販品は常食すると財布が気になるので、自分で作れるようになりたいと考えている人は多いはず。
しかし、自分で作って「食中毒になった」という意見もあったりするので、少し作るのをためらってしまいますよね。
でも、食中毒が起こる原因とその対策を知っていれば大丈夫。しっかり対策していれば、鶏ハムづくりにおける食中毒の可能性を限りなく0に近づけることができます。
しっかりポイントを抑えて安全な鶏ハムを作り、美味しくたんぱく質を摂取しましょう!
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